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車椅子ライター波子さん、完美王を語る。
初めまして。車椅子ライターの波子と申します。
私は「先天性ミオパチー」という筋力が低下していく病気だと診断されていて、背骨が曲がる「脊柱側弯症」でもあります。2012年に側弯症の2度目の手術をし、その後うまく歩けなくなったため、現在は外出時に簡易型電動車椅子を使用しています。
2012年夏頃から手の力が弱くなり、これまで何気なく使えていたものが少し不便に感じるようになりました。力が弱くなって初めて感じる不便さは、普通に使えていた時には想像もできなかったことです。
私の握力は2019年3月現在約15kg。この数値は、同年代女性の半分程度です。
もともと高くなかった筆圧がさらに落ち、最近は利き手である右手人差し指の指先の制御が少し難しくなってきました。鉛筆やシャープペンシル、ボールペンで強く書くことは苦手になり、一般的に筆圧が必要とされない万年筆も、ペン先の向きや角度が限定されるため、うまく持てなくなって書くのが難しくなってしまいました。
筆ペンは、筆圧がほとんど必要ないうえに、筆記の向きや持ち方があまり制限されない、とても便利な筆記具です。
そして、数ある筆ペンの中でもこの「くれ竹美文字 完美王」の登場によって、私はもう他の筆ペンをほぼ使わなくなりました。
私にとって完美王は、まさに「推しペン」なのです。
私が完美王を推す理由は、3つあります。
太い軸が持ちやすい。
完美王の軸は、一般的な筆ペンと比べると太めです。筆に近い感覚で、これが非常に持ちやすい!
握力が弱くなると、細い軸をしっかりと握って持つことがやや難しくなり、運筆が不安定になります。
太い軸であることで、弱い力でも安定して持つことができるのです。
筆を持つのと同じように完美王を立てて、親指・人差し指・中指の3本でそっと持つだけで運筆できます。
人差し指の制御が不安定になってからは、手首を紙につけ、主に親指と中指で軸を挟み、人差し指に軸をもたれさせるようにして運筆しています。それでも安心して書ける頼もしさです。
また、普通のペンを持つのと同じように持っても書けるので、筆の持ち方に慣れていなくても大丈夫。
完美王は、持ち方を選びません。
穂先が整うから書きやすい。
完美王の最大の魅力は、その「アシスト力(りょく)」です。
一度でも、とにかく文字を書いていただくとお判りいただけると思いますが、明らかに「私の実力ではない美文字力」が働くのを実感できます。ふだん自分で書く文字よりも、ちょっと綺麗な文字になるんです。
それはなぜかと申しますと、運筆しおえたときに、必ず穂先が元の形に戻るから。
どんな風に運筆しても、筆を紙から離す直前の、最後の一筆の書き終わりが整います。
書き終わりが整うと、文字はとても美しく見えるんです。見事なアシストっぷりですよ。
また、穂先が常に整っていることで、細い線を筆記するときも自在に扱えます。小さな文字は「極細」が得意ですが、「中字」でも充分はがきの宛先住所が書ける程度には細い線での運筆が可能です。
太めの大きな文字も、小さめの文字も、両方書ける「中字」は万能です。
細やかな文字が得意な「極細」は、便箋に手紙を綴るときや、日記を書くときに重宝しています。
インクがたっぷり出るから気持ちいい。
見事なアシスト力によって書く文字を、のびのびとした運筆でいつまでも書き続けられることにも理由があります。
それは、完美王の最大の特徴である「軸を押さなくてもインクが自動的に出てくる」ことで成り立っています。
これまでのカートリッジ式筆ペンは、軸の中のインクを「軸を押す」ことで出していました。私はカートリッジ式をあまり使ってこなかったのでさほど実感はないのですが、穂先に流れるインクが少なくなる度に軸を押して筆記していた訳です(そのおかげでインク量の調節は可能です)。
でも、完美王は違います。ただ軽く持って書くだけで、いつでもたっぷりとしたインクが紙の上にのってくれるのです。なので、運筆がとても気持ちいい!
私が特に好きなのは、ひらがなの筆記。年賀状のご挨拶を「太字」で大きく書くのはかなりの快感です。そして、もし年賀状で完美王を使うときは、「インクジェット紙」をオススメします。たっぷりのインクが紙にのる、その運筆の気持ちよさが、さらに倍増されますよ。
私にとって、完美王は、もはや「なくてはならない筆記具」なのです。
「くれ竹美文字 完美王」にカラーが登場。「完美王 耽美艶」
完美王への愛を熱く語ってくださった波子さんに、現在一部店舗にてテスト販売中の 完美王のカラータイプ「完美王 耽美艶」をお試しいただきました。
カラーを活かしたステキな作品も書いてくださいました。
「完美王 耽美艶」は、完美王の「押さずに書ける」特性はそのままに、「呉竹 顔彩耽美」から選んだ12色の和の色目を表現しています。
耽美艶の詳細につきましては、下記よりご確認いただけます。
「完美王 耽美艶」は、「顔彩耽美」の和の伝統色をインクにして、カートリッジに詰め込んだもの。
カラー筆ぺんはこれまでにもシリーズがあり、私もいくつか愛用していますが、私にとっての推しペンである完美王でのカラーの登場は、まさに歓喜に震えるものでした。
完美王の書き心地で、カラフルな文字が綴れるなんて!
インクが異なるため、従来の完美王とはまた違った書き心地です。しかし、運筆のなめらかさやアシスト力に変わりはありません。
バースデーカードの文字など、カリグラフィーに馴染みがない私でもそれなりの見た目に仕上げられます。
また、普段のお手紙でも、墨色とはまた違ったやわらかな印象を与えられそうです。
完美王「中字」の登場、「極細」「太字」という太さのバリエーション展開、そして和の伝統色でのカラー展開。
これからも、完美王の進化から目が離せません。
波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。産経新聞奈良版および産経WESTにて「車いすでみるなら」、WEBマガジン「文具のとびら」にて「車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち」連載中。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」 http://nam-kid.hatenablog.com/