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墨と彩墨で描く日本画の世界 ―丹羽優太さん、高資婷さん―

「大鯰列島図襖絵」 丹羽優太さん

白石:
この度は受賞おめでとうございます。まずは、受賞された作品について教えていただけますか。

丹羽:
今回、賞をいただいた作品は「大鯰(おおなまず)列島図(れっとうず)襖絵(ふすまえ)」というタイトルの作品です。

丹羽:

インスタレーション(※1)という括りの作品になるのですが、12枚の襖で日本列島を表現しており、近年発生した地震などの災害をテーマにしています。

江戸時代、鯰が地震を起こすという伝承が流行し、鯰をモチーフとした浮世絵がたくさん出たそうです。災害が多かったその時代に、大地震を「鯰絵」という風刺が効いていて、ある意味ではユーモラスな浮世絵にするなんて当時の人はたくましいな、と思った反面、災害をユーモアに置き換えることで悲しみを乗り越えたのではないか、そしてそれは今も同じなのではないかと感じました。

今の時代においても、災害をフィクション、ユーモアに置き換え、悲しみを乗り越えられるような作品を残したい、という思いで描いた作品になります。

白石:
12枚の襖絵で空間が4か所に分けられていますが、それぞれ何を表しているのでしょうか。

丹羽:
中心に来る襖絵の両面に大鯰を描いています。茨城県の鹿島神宮と千葉県の香取神宮、それぞれの神社にある要石という石が地中にずーっと伸びていて、その石が鯰を押さえているという伝承を元にしています。片方は頭を、片方は尾っぽを押さえている。それが作品の中心になります。

丹羽:

そこから4枚の絵がそれぞれ伸びていて、空間を4つに仕切っています。

4つの空間がそれぞれ、東西南北の面になっていて、実はこの構成自体が日本列島を表現しています。

南が九州・熊本地震の石垣が崩れるシーン。西は阪神淡路大震災で起こった火災のシーン。東は、東日本大震災の津波ですね。

北は北海道。最近地震がありましたが、その土砂崩れのシーンです。

そういったものをただ描くというよりは、想起させるようなものを映画のシーンから切り取っています。

4点撮影:木奥 惠三

丹羽:

何の映画かというと、ゴジラ、最新のシン・ゴジラです。

ゴジラを選んだ理由というのは、昔のモチーフでやってしまうと現代の人には入っていけない部分ができてしまうんですね。

ゴジラは以前から好きだったんですけど、ただゴジラが描きたかったというよりは、江戸時代に行われた鯰を地震に見立てるという行為自体を、現代ではゴジラが継承しているのではないか、というところが描きたかった。

鯰という過去のものと、ゴジラという現代のものを作品に同居させることによって、過去と現代を繋ぐことが、一つの目的でした。

白石:
ありがとうございます。
次は、高さんの作品についてお伺いできますか。

インスタレーション (※1):

作品単体ではなく、作品を展示する空間も含めて作品とする表現手法、ないしはその作品のこと。

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